『あおぞら 〜世界中の子供(きみ)たちへ〜』について

もともとは、作曲のZUNちゃんがソプラノサックス用のインスト曲として作っていた楽曲に、歌詞をつけたものです。なので、私が作詞した「メロ先」「曲先」の作品の先駆けになった曲。コンピレーションアルバム「喜喜楽楽」のために作られた楽曲なのですが、そういう創作の経緯だったため、歌うことがとてもむずかしい曲になりました。とにかく音域も広くてリズムも取りづらい、聴いて受けるイメージとはちょっと離れる、歌い手泣かせの曲とも言えるでしょう。

SingleCDにカラオケを入れているのですが、ある方の感想に「こんな難しい曲、カラオケで歌えるワケないです」と言われました。挑戦したい方、いらっしゃいましたらドウゾ!お聴かせください。

作詞した時のコトを、とても良く憶えている曲でもあります。ZUNちゃんの事務所で一通りラフアレンジの曲を聴いた後、カセットテープでそれをもらい、自分の事務所に戻る車中でスデに半分程度は歌詞が浮かんで来ていました。ホントに「降りてくる」感覚を味わさせてもらった気がします。大元には「あおぞらが見えなかった日」に書いている体験があったのですが、それにしてもナニか偉大な存在に書かせてもらった、そんな気がする作品なのです。体験から作詞まで、たしか2年ぐらいのタイムラグがあるんですが、鮮烈な体験だったのでまだまだ生々しい感情がありました。でも、この作品を創ったことで、自分自身が癒やされることになったのです。

作詞した後、レコーディングする前にZUNちゃんが「ラララ」の部分を追加しました。コラボのいいところですよね。また、それを子供の合唱にしようとアイデアを出したのもZUNちゃんでした。とある小学校に協力して頂き、レコーディング。楽曲が完成に近づくにつれ、何度も鳥肌が立つ感覚を味わいました。やっぱり私の音楽活動にとって、とてもとても大切で貴重な体験、動機を作ってくれる体験でした。よくこの歌詞作品を紹介する時、「曲調は明るく子どもたちの幸せを願っている内容ですが、実はレクイエムなのです」などと言っていました。今考えるとそれは逆なのかもしれません。レクイエムのつもりでいたけれど、ヒーリング効果のある楽曲、それが正解なのかも。


『ドラキュラナイト』について

数少ない私が作詞作曲した楽曲です。創ったのは二十代!歌詞をちょこちょこ手直ししたりしましたが、基本は二十代の時の作品なのです。自分でライブなどで歌ったりもしました。懐かしい思い出でございます。でも今思えば、ヒーマン師匠に歌っていただいたことで、楽曲の質が飛躍的に上がったと思っています。師匠のキャラクターと楽曲のキャラクターがベストマッチした結果ですね。ZUNちゃんの編曲もメチャすばらしいです。

創った当時、単純なLoveSongにあまりソソられなくなっていた時期でした。また、尊敬するマイケル・ジャクソンの「スリラー」が大ヒットしたことにインスパイアもされたのだと思います。ただ、最初からホラーっぽい楽曲にしようと思っていたわけではなく、遊び心がある曲にしたいな〜と考えていました。また、歌詞中に英語を使用することにハマっていた時期でもありました。

私が作曲までした曲のほとんどは、メロディと歌詞が同時進行のことが多いのですが、コレもその一つ。タイトルである「ドラキュラナイト」という造語を思いついてからの創作でした。そこから吸血鬼と美女、コウモリのイメージを重ねながら創っていったことをおぼえています。遊び心という意味では、後の佐賀弁楽曲に繋がる起点になったかもしれません。


『SU・TE・KI』について

コンピレーションアルバム「喜喜楽楽」に収録した、数少ない私の歌唱する楽曲で、作詞作曲も担当です。「ドラキュラナイト」同様、コレも二十代に創った作品。日本音階的なメロディに変拍子を取り入れたり、けっこう実験的な曲。編曲も「胡弓」的な音源を入れたりと、ZUNちゃんがかなり工夫してくれました。個人的には満足できる質の作品です。

伝説のバンドであるYMOの「君に、胸キュン。」というヒット曲がありましたが、それに触発されたことは間違いありません。でも7/8という変拍子は、イカに聴いている人のタイミングを外してフックにするか?を考えて思いつきました。ハイ、若かったですね〜。拍のアタマと裏がいつの間にか入れ替わってる!的な、変なことを考えていましたね〜。やり過ぎ感がありますが、ZUNちゃんの腕で自然に聴こえる!感謝!です。

歌詞は、とても素直なLoveSong。メロディが凝りまくっているので、歌詞で遊んだらソリャ混乱するでしょ、って思ったかどうか。ただ韻を踏む、同じような語感の中にチガウ意味をもたせることには工夫した思い出があります。男性が女性のドコに魅力を感じるのか、私の若い時分の感覚である歌詞。少し恥ずかしいかもしれない作品です。


『おおきな帽子』について

「シーハットおおむら」と言う複合施設のイメージソングなのですが、当時の館長さんからのリクエストが様々にありました。施設名がすでに決まっていたので、そのイメージ(海に浮かぶ大きい帽子)がメイン、その他に大村市のイメージかれこれ。そしてテーマは施設に訪れた方々が体験する、様々な出会い。こんな風に課題がたくさんな作詞でした。

曲が先にできていた、いわゆるメロ先(曲先)での作詞でした。作詞の手法としては、ムズカシイ部類に入るだろうと思いますが、逆に燃えて取り掛かったような記憶があります。館長さんと何度か修正のやり取りもありましたが、私自身も館長さんも満足の行く作品になったかと。でも、歌詞中に施設名を出さなくてよかったのは、ありがたかったです。

明るく爽やかに、またそこはかとない切なさが感じられる作品になったのではないかと思っています。イメージソングとしても、イチ楽曲としてもいい感じではないでしょうか?気に入っています。そう、ボイトレ用の曲としても使っていました。歌うのはけっこうムズカシイ曲なのでした。


『ペーパーバックストーリー』について

この作品、コンピレーションアルバム「喜喜楽楽」を制作している際に、もっと楽曲を増やしたいということから、急遽制作されたのです。歌詞は、もともと私が作詞作曲で作っていた作品を流用し、ZUNちゃんが作編曲。「こんなやり方も面白いんだな〜」と感じました。私が作曲したものは、トウゼン封印!音源もありません。あしからず、です。

そういうわけなので、コレは詞先での制作曲。詞を創ったのはたぶんこの曲も二十代ですかね。私の作風として「歌い上げ」系の、少し大げさな歌詞が多いのですが、この曲はいわゆる小品として考えて作詞しています。アルバムに収録するには、ピッタリだったかと思います。北村さんのアルバムにも入れていただきましたし。

また、コレも私の傾向なのですが、わざと主人公等の性別をボカしています。男性でも女性でも共感頂けるようにと思ったか思わなかったか、限定されることを嫌ったのだと。そうすることで想像して頂ける幅は、マチガイなく広がっていると思います。いかがでしょう?


『Twilight Avenue』について

この曲も数少ない私の歌唱する曲です。このホムペでそのウチ音源を公開するかもしれません。私の歌声、自分ではソコまで気に入っているわけではないのですが、コレも私の歴史ということで。みなさん聴いてみたいですかね?ははは。創ったのはコレも二十代、そして歌ったのは三十代。たぶん声も違ってきているんでしょうね〜。

作詞の手法は曲との同時進行。たしか、コード進行とリズムを思いついてからの創作だったと思います。夕暮れ、黄昏時ってとても好きな時間帯で、ビジュアルイメージ先行で作詞したことを記憶しています。で、途中から「プロポーズシーンにしよう」と思いつきました。実体験ではないですね〜。想像の産物です。

ビジュアルイメージにあったのは、佐賀市の中心商店街で毎年行われている「サガライトファンタジー」の光景。初日のパレードの時ではなく、なんでもない日のイルミネーションがキレイな光景です。ご存じない方は一度ご覧頂きたい風景ですネ。期待以上の美しさだと思います。バルーンフェスタ時期に合わせてスタートし、年明けまでされています。


『Do-がしこDEN SAMBA』について

STSサガテレビの番宣タイアップソングにはじまり「がばい佐賀」にまで収録した、佐賀弁ソングのショッパナでもあり代表曲とも言える楽曲です。SAXの深町さんがある日、「SAMBAのスルドの音って、佐賀弁のドガシコって聴こえる」とつぶやかれ、あぁ〜そうだな〜って思ったのがきっかけなのです。この発想、秀逸ですよね。

それを元に「喜喜楽楽」用に作詞したのです。なのでコレは詞先の曲です。佐賀弁の歌詞にメロディがつくとゼッタイ面白い、そんな確信もありました。台本や脚本の制作手法に「当て書き」というものがあります。始めからある役者さんを想定して執筆するやり方なのですが、この歌詞もそう。始めからヒーマン師匠が歌う!と想定して、楽しく出来ました。

制作過程でビックリするとともに感動したのは、ヒーマン師匠。レコーディング直前まで全編メロディがあって、それをおぼえる作業をしていたのですが、いざレコーディングになったら「RAP?」って感じに。それがサンバのリズムにピッタリでドライブ感も出て、また佐賀弁の面白さも引き立つ!サスガのヒーマン師匠です。


『Dear』について

「喜喜楽楽」を創る際に、Topの曲は「あおぞら」と早々に決まりました。で、ラストの曲をどうしようか?と考えて、「あおぞら」のアンサーソングが必要だね、そんなお話しがはずんだのです。「あおぞら」は親から子へのメッセージソング、であれば子から親への歌があった方がいい、そんなきっかけでした。

で、始めからこの曲は「メロ先」でやろう、とZUNちゃんと話しつつ進めたのです。出来上がってきたメロディを聴きつつ思ったのは、これはイイ曲になるぞという予感と、作詞がムズカシイ!って感触。ナニをそう感じたかというと、音程が同じ音が続くAメロと、低いところから始まるサビ。通常はメロディを聴くと、どんな言葉がフィットするのか想像できるんですが、「Dear」はその想像がとてもしづらい曲なのでした。

また、イメージとしてはじめにあったのが、死別した親子の話し。暗くなりすぎずにどう世界を創っていくか、そんなこともハードルをあげていました。たぶん一週間ぐらいは悩んだ気がします。ソコから抜け出せたのは、ビジュアルのイメージでした。むかし話を話しているシーン。そしてそれを回想するシーン。ソコからやっと歌詞世界を作れました。

そうそう、ZUNちゃんの奥さん、初めて聴いた時に泣いたそうです。また「子供の結婚式で聴いたら号泣しそう」なんて方もいらっしゃいました。


『なた〜TE音頭』について

ヒーマン師匠が歌う佐賀弁の音頭として、遊び心満載で制作。コッテコテの佐賀弁をどのぐらいの方がわかるのか?いやワカラナイような佐賀弁にしよう、なんて考えつつ創りましたです。特に高齢者の方々にオオウケで、とってもよろこんで頂いたと思います。高齢者の踊り愛好会の方に振りもつけていただきましたね〜。

佐賀弁の楽曲を創り始めた当初、いろんな佐賀県の方々に聞いていただきましたが、中には「いっちょんワカラン」(全然ワカラナイ)と言う方も。佐賀県もそこそこ広いわけでして、東部、西部、南部、北部で言葉も少しずつ違い、またそれにつれて地域的文化も微妙に違うのですね。私が創るのは、どちらかと言うと東部の佐賀弁。中央部もけっこう意識しています。

ただ佐賀弁で創ろうが標準語的な言葉で創ろうが、基本的な作詞法に違いはなく、この曲は詞先の曲です。わかりにくい言葉だからこそ、と思って韻を踏むことや字数を揃えること、そんなことを優先して考えました。そのため少しだけストーリー性は薄いかもしれません。でも、私の知らないところで活用いただいているようで、創りて冥利につきます!感謝!


『きゃ〜もんルンバ』について

私が創った佐賀弁の楽曲では、最もわかりやすい佐賀弁かもしれません。「きゃ〜もん」と言うのは買い物という佐賀弁。それさえわかれば、後はナントナクご理解いただけるかと思います。英語のカモンときゃ〜もんが似てることをキッカケに、また繰り返し言葉の面白さを出そうと思って創っています。

「試聴の部屋」での解説にも書きましたが、以前「きゃ〜もんバス」と言う中央商店街と住宅地を結ぶ、レトロなコミュニティバスがありまして、そのネーミングにも引っ張られましたね。地域活性化などに活かせる曲、そんなことも頭の隅にありました。様々な買い物シーンが出てきますが、わかられますでしょうか?

またこれを制作した頃から、様々なリズムジャンルと佐賀弁のマッチングを考えました。「がばい佐賀」を通してお聴きいただければ、その辺りの創り手の思惑を感じて頂けるかもしれません。ラテン系からロックンロール、マーチに音頭、イロイロやりました。作編曲のZUNちゃんもスバラシく、そのあたりの期待に応えてくれています。